幸せのカタチ


3


場転・教室夕暮れ
 ドアを開ける

颯太「瑠奈〜、帰るぞ〜」

慧斗「瑠奈?」


 机に突っ伏している瑠奈に近づく


颯太「慧斗…寝てるぜ?しかも、菓子の袋握り締めて」

慧斗「あ〜本当だ、待ちくたびれて寝ちゃったんだね…」
  「もうちょっとだけ寝かしてあげよ?」

颯太「ん?まあ俺は別に、特に用もないからいいけど」
  「にしても菓子の袋握り締めたまま寝るとは…」

慧斗「お腹いっぱいになって眠くなっちゃたんだろうね〜」

颯太「だろうな、瑠奈のことだから」
  「そういや、さっき聞けなかったけど、お前はこいつのどこがいいんだ?」
  「いいやつではあるけどよ、食べることばっか考えてそうだぜ?」

慧斗「あはは〜確かにそうかも」

颯太「だろ?絶対食べることしか考えてないぜ?本当にこいつでいいのか?」

慧斗「うん、瑠奈がいいんだ」
  「瑠奈はさ、優しくて、元気で、一緒に居るだけで笑顔になれるんだ」

颯太「それが、好きな理由か?」


 窓に近づく


慧斗「う〜ん…なんて言えばいいかな…一緒に居て楽しくて…それでこのまま瑠奈と一緒に居れたらなって、そしたら…」

颯太「そしたら?」

慧斗「なんか…好きになってた」


 物音


慧斗・颯太「!!」  ドアの方を見る

颯太「誰も居ないな……てことは…」

慧斗「瑠奈?起きたの?」


 瑠奈の方を見て呼びかける 瑠奈に近づく


慧斗「瑠奈?」


 寝ている瑠奈に近寄って耳元で呼びかける
 瑠奈の体が反応して震える  それにあわせて机も動く


瑠奈「……」

慧斗・颯太「……」


 二人顔を見合う


颯太「おい、あれ、起きてるよな?」

慧斗「うん、だろうね……」


 瑠奈から少し離れて小声で話す



慧斗・颯太「……」   再度顔を見合わせてから瑠奈を見る



颯太「あっ、あんなところにワンホールケーキが!!」

慧斗「わ〜本当だ〜おいしそ〜」


 二人瑠奈を見る


慧斗・颯太「……」


 瑠奈が起き上がって回りを見回す


瑠奈「ケーキ!?どこ!どこにあるの!?」

颯太「起きたな…」

慧斗「起きたね…」

瑠奈「あはは…え〜と…おやすみ!」

颯太「おやすみ!じゃねぇ!」

瑠奈「クカークカー」

颯太「クカーって、お前確実に寝てないだろ!?」

瑠奈「寝てます」

颯太「寝てるやつが返事してたまるか!」

瑠奈「はいはい、わかったわよ、起きてる起きてる」

颯太「はぁ〜…んで、いつから起きてた?」

瑠奈「え?いや、さ、さあ?」

慧斗「話は聞いてた?」

瑠奈「話?話って何のこと?」
  「私話なんか聞いてないわよ」

慧斗「本当に?」

瑠奈「あ、私用事あったんだ!」
  「帰らなくちゃ」


 鞄を掴んで走って出て行く


慧斗・颯太「……」

颯太「あの様子じゃ、明らかに話聞いてたな…」

慧斗「だね……」