青さと若さと過ちと
4
場転・喫茶店
春樹「……」
旭日「無言で入ってくるなよ……」
「上手くいかなかったのか?」
春樹「友達には見損なったって言われるわ、柊木をまた泣かしちまった」
旭日「ん?わけわからん、ちゃんと渡したんだろ?」
春樹「一応」
旭日「一応ってどういうことだよ」
春樹「いや、顔あわせづらくて、友達に渡してもらった」
旭日「お前、何やってんだよ」
春樹「え?」
旭日「そりゃ、見損なわれもするし彼女泣かすわ」
春樹「どういう……」
旭日「なんで彼女が泣いたかわかるか?」
春樹「まだ、あの時のこと気にしてる……のか?」
旭日「違うな」
春樹「じゃあ、じゃあなんで……」
旭日「お前が、お前が直接渡しにいかなかったからだろ」
春樹「俺が、渡しに行かなかったから……?」
旭日「お前は何がしたかったんだ?菓子を渡して謝りたかったんだろ?お前の気持ちをつたえたかったんじゃねぇのか?」
春樹「……」
旭日「気持ちを伝えるってことは、簡単なようで難しい、少なくとも会わずにできるほど、簡単じゃない」
「確かに、恥ずかしかったり、伝えにくいことだってある」
「けど、それでも伝えなきゃなんねぇことがあるんだよ」
春樹「伝えなきゃならないこと……」
旭日「それがわかんないなら、彼女を傷つけるだけだ」
春樹「……」
旭日「んで、どうするんだ?」
春樹「……もう一回、菓子の作り方教えてくれ」
旭日「わかったんだな?」
春樹「ああ、ちゃんとまっすぐぶつかって伝える」
旭日「それでいい、じゃあ作るか」
春樹「ああ」
旭日「あ、それと、そう決めたならその友達ともちゃんと話せよ」
春樹「わかった」