青さと若さと過ちと


3


場転・学校 教室


直人「へ〜、じゃあ、今日持ってきたのか?」

春樹「一応」

直人「なら、渡してこいよ」

春樹「それなんだけど、お前渡してきてくれないか?」

直人「は?」

春樹「あんなこと言っちまって、あわせる顔ないだろ」
  「だから、直人渡してきてくれよ」

直人「いいのか?」

春樹「? いいよ」

直人「本当にいいんだな」

春樹「いいって」

直人「そうか、わかった」

春樹「じゃあこれ頼む」

直人「ああ」
  「……見損なった」


 スタスタスタ


春樹「え?おい、直人」
  「見損なったって……」




直人「柊木」

奈緒「伏見君?」

直人「これ、春樹から」

奈緒「橘君が?」

直人「ああ」

奈緒「なにかな?あ、わ、け、ケーキだ」

直人「春樹が作ったんだと」

奈緒「ほんとに?わあ……」
    「えっと、橘君は?」

直人「向こうで待ってる」

奈緒「え?」

直人「俺に渡してくれって、顔あわせられないんだと」

奈緒「そっか……」

直人「悪いな」

奈緒「ふ、伏見君は何も悪くないよ!」
  「あはは……そっか……」

直人「本当に悪い」
  「じゃあ」

奈緒「うん、ありがと」


 スタスタスタ


春樹「ちゃ、ちゃんと渡したか?」

直人「ああ」

春樹「どうだった?」

直人「ケーキは喜んでたみたいだぞ」

春樹「そっか、よかった」

直人「ただ、泣いてたな」

春樹「え?なんで……」

直人「さあな」

春樹「さあなって、なんでだよ」

直人「ちゃんと話さなかったからじゃないか」
  「柊木がどうかはわかんねぇけど、俺はそう思う」

春樹「ちゃんと話さなかったから……?」

直人「ああ、正直俺はそんなお前を見損なった」

春樹「……」