幸せのカタチ


1

慧斗『あなたの幸せはどんなカタチですか?』


場・昼休み 屋上
 木枯らしの吹く屋上
 三人が丸く集まって座っている


颯太「あ〜腹減った〜!」

瑠奈「お腹すいたって…私なんかお昼の前に体育よ!?」

颯太「そういやぁ、瑠奈んとこは体育だったな」

瑠奈「体育だったな、じゃないわよ!お腹すいてすいて死ぬかと思うくらいよ!」

慧斗「まあまあ、そう言わないで、体育のある日はお弁当いつもより多めにしてるでしょ?」

瑠奈「たくっ、じゃあ早く食べるわよ」

慧斗「はいはい」


 お重を取り出す


颯太「毎回、思うけど…さすがにそれはデカすぎないか?弁当がお重って……」

瑠奈「え、そう?これでも足りないくらいよ?」

慧斗「瑠奈はいっぱい食べるからね〜」

颯太「やっぱすげぇな、黎明高校大食い王女は…文化祭の大食い大会で男子を差し置いて優勝したのは伊達じゃねぇ…」

瑠奈「その呼び名は止めてって言ってるでしょ!」

颯太「いやぁ〜だって事実だし?」

瑠奈「怒るわよ?」

颯太「!!……いや…えっと…」
  「そ、そういえば、瑠奈の弁当は慧斗が作ってんだよな?」

慧斗「ん〜?そうだよ〜?」
  「毎朝、瑠奈のと僕の二つね〜」

颯太「大変じゃないのか?」

慧斗「ん〜ん、僕料理好きだし、瑠奈は毎日おいしそうに食べてくれるし」

颯太「へぇ〜ま、愛幼馴染弁当ってとこか」

瑠奈「な、何が愛よ!!変なこと言ってんじゃないわよ!」

颯太「いや〜毎朝弁当作るなんて愛がなけりゃとてもじゃないが出来ないぜ?」

瑠奈「そ、それは、私と慧斗の両親が共働きでどっちも出張が多いからよ!」

颯太「それだけなら別に毎日弁当じゃなくてもいいんじゃねぇのか?」

慧斗「でも、買ったものだと瑠奈はバランス考えないし食費が大変になっちゃうし」
  「それに、瑠奈のお母さんに頼まれてるからね」

颯太「いや、いくら頼まれてるからってさすがにそこまで出来ないだろ」
  「やっぱ、愛だな、愛」

慧斗「あはは〜ど〜だろねぇ〜」

瑠奈「だから、んなわけないでしょ!」
  「あんたいい加減にしなさいよ?」

颯太「でも慧斗は否定してないぜ?」

瑠奈「だとしても、そんなのあるわけないじゃない!!」
  「私たちはただの幼馴染なんだから!!」
  「あんたも否定しなさいよ!!」


 慧斗の背中を叩く


慧斗「あうっ、痛いな〜もう」

颯太「はっはっは、おもしれ〜」

瑠奈「面白がってんじゃないわよ!」

颯太「お、怒るなって」


 チャイムの音


颯太「おっと、授業が始まっちまう!」
  「慧斗行くぞ」

慧斗「え?あ、うん」

颯太「じゃあまたな、瑠奈」

慧斗「またあとでね〜」

瑠奈「あ、うん、またあとでね」